よたか2007.10.24 10:01:32
昨日、ニコニコで「みっくみく」になっていたら、「ニコニコの危機」とか書いてあり、気になってたどってみると、MiAUのサイトに辿りつきました。動画、音楽などのいわゆる「著作物」に対して権利をもっと強化しようとする「法律(システム?マシン?)」に対してネットワーカーから声をあげていこうという主旨のようです。
とりあえずメルマガに登録して、記者会見の様子を「ニコニコ動画」で見た訳ですが、「なるほど」と思える部分も「おいおい」と思える部分もあった。
MIAU関連動画
一応、物つくる事を生業にしているので、コメントさせてもらうと、
1)著作権は当初「クリエーター」の権利を守るものだったはず。
2)ネットの広がりに、立法側が対応しきれていない事。
3)先人が、今から成長する物に対してしなければならない事を忘れていないか?
この3点だと思うんです。(この先長文注意)
1)著作権について
著作権については、アメリカでミッキーマウス法案とかいうのが通ってから、物を作る事が個人から離れてしまっているように感じます。
絶対無理だとはおもうけど、著作権を正しく行使する為には、どんなに面倒でも、作った制作物一つ一つに個人の著作である事を認める必要があると思うんです。たぶん法人が著作権行使しちゃうのが間違っているような気がする。
法人が著作を行使するから、「物をつらない人」が、著作物からの利益を享受している現状が生まれ、ミッキーマウス法案とか出来ちゃうんでしょうね。
ライオンキングが発表された時、手塚事務所のコメントは、「いい物をつくってください」といった感じのコメントがでてたような気がする。
多くのクリエーターは、大金よりも「君が作ったのカッコいいね」と言われ、自分の作ったものがいろんな形で残って行く事の方が大事だと感じているのではないでしょうか?
著作権がだれのための物なのか、もう一度考える必要があるのではないでしょうか?
2)ネットの形態について
どこか、他のコラムにも書いてあったけど、「初音ミク」の作品が作られ、ブラッシュアップしていく課程には、プロの仕事よりも、優れた一面があると思うんです。
わたしは、残念ながら、ほとんどの仕事を一人でする事が多く、ほとんどの場面で「自分だけの判断」で作業を進める事ばかりなのですが、「初音ミク」の各種コンテンツの制作課程には、「職人」と言われる様々なクリエーター(もしくは卵)が数々の試作を経てブラッシュアップしているのです。
その中で、既存のアニメのシーンを流用して加工したものや、ニュースなどの動画を流用したもの、または音楽、などが使われているのです。
いわば、「ネット上での落書き」ですよね。
実は私たちのの現場ではこれは当然のことで、試作中は、著作もなにも考えずにいろいろ作ってラフを制作している訳なんです。
プロなので,それをそのまま発表する事はまずありませんが、彼らのこの作業行程は充分納得いきます。
その上、彼らはクリエーターを育てる術を知っているのです。いい作品には、90%の賛辞と10%の苦言で、クリエーターのモチベーションを維持させて、よくない作品には見向きもしません。
人が育たないといわれる昨今において、ネット上はまさにインキュベータの役割を果たしているのではないでしょうか?
3)著作権者が果たす役割
さきにも書きましたが、「人が育ちにくい」なかで、ネット上の“インキュベータ”はとても重要だと思うんですよ。
人をちゃんと育てていない法人がこの上、この“インキュベータ”に対しても規制をかけるとなると、これから、沢山のクリエーターを失う事になるのではないでしょうか?
著作権を行使している人たちが必ずしもクリエーターではないという事を踏まえて書かせてもらうと、せめて、自分の持っているコンテンツくらい自由につかわせるくらいの度量は必要だろ!
高品質のものはともかく、ネット上で加工するくらいの低品質でならいいよとか、登録して用途を限れば、無償で許可するとか、なんとか支援する方法があるのではないでしょうか?
実際BBCがそういった活動をはじめたようです。
欧州の高級ブランドは、利益を増やすために、自国内の工場を減らし、コストの安い中国などへ生産拠点を移した結果、いわゆる「偽ブランド」問題が拡大してしまいました。
著作権を行使している法人の方々も「利益」に目を奪われて、本当にしなければならない事を忘れないでいて欲しい物です。