よたか2011.07.29 09:34:59
これは、毎日練習の為に書いている「フィクション」で、その一部をブログにもアップする事にしました。街で見かけた人を題材にする事が多いのですが、物であったり、ニュースだったり、文体含めてあまり固定してません。
よろしければ、私の習作におつき合いくださると嬉しいです。
感想などいただけると、涙流して喜びます。
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彼は「その事について、一切報告がない。」と、怒っている。
事情は知っていたけど、部外者なので、なにも言わなかった。
どうやらそれが気に入らないらしい。
呼び出され、「何故教えてくれないのか?」と聞かれる。
口を挟む立場に無いし、報告義務もないと告げると、
「管理しているのは俺だ」
「お前たちは、隠れて、勝手に話をして、俺の悪口を言ってる」
などと、矢継ぎ早に言いだした。
私に、どんな落ち度があるのかわからないので、
言われて当惑してしまったのだが、
彼は、一向に気にせず話を続ける。
「だれも教えてくれないので、俺はなにも知らない。そんなのってあるか?」
これは変な話。
すでに、当事者は全て処分されたはず。
彼は『なにも知らない』のに、処分したという事か?
堰を切ったように話し続ける彼を制止し、
「感情的な話をしていても解決にならないので、すこし時間を置いた方がよくないですか?」
落ち着かせるつもりで言ったこの一言が失敗だった。
「俺はこんなに冷静だ!」
そんなに怒鳴っててどこが冷静なんだか……。
何を言っても進まない。
話したくなかったので、黙った。
虚しい時間だけが過ぎて行く。
空白の時間にいたたまれなくなり、彼は、別れの挨拶を告げる。
「おやすみなさい。」と彼を見送る。
孤独が大きな塊になり、
彼の背中で、少し大きくなって行くように見えた。