よたか2020.08.12 23:40:00
やっと一般診察扱いになったけど、こちらの待合室もそれなりに寒い。ゲームにも飽きたので続きを読み始めたところで診察室によばれた。
病名は『左扁桃周囲膿瘍』でのどに出来物ができて膿が溜まっているらしい。
「1週間ほどの入院で治るから安心して」
えっ? 入院ですか? そんなつもりはなかったんですけど。
患部に薬を塗って「お大事に〜」って感じだと思ったのだけど、それほど軽くないらしい。
CT取ってからもう一度話を聞くとかなり膿が溜まっているようだった。
「もう少し遅れると声帯が腫れて呼吸困難になる可能性もあったねぇ」
医師はそう言って脅しにかかる。
もう観念するしかなさそうだった。
とりあえず一回荷物を取りに帰る約束を取り付けて入院を承諾した。
「少し処置しましょう」と言われて診察台に頭を固定されたと思ったら「麻酔しますよ〜」と言われて喉の奥に4本も注射された。
後から聞いたけど、歯の治療と同じ麻酔だったらしい。
少し気が遠くなった。
「じゃ吸引しますね」と言いながら、注射器を患部に刺して吸引し始めた。
意識が飛びそうになる。
でもここで我慢できたら入院は無くなるかもしれない。
この辺まではそんな儚い希望を持っていた。
「もう一回処置していい?」よくないけど「大丈夫です」と強がってみた。
しかし、なにかの数値が低くなっているらしく「処置はここまでにしておきます」と言われてそのまま病室へ向かうことになった。
なにも準備しないままの入院だったので、女房に電話したんだけど声が出ない。
結局看護師さんに変わって話をしてもらった。
しばらくして荷物のこととか手続きとか諸々片付けて女房が病室へ来てくれたけど、どうやらお見舞いはこれっきりらしい。
そう。コロナのせいでお見舞いにも制限がついてしまったようです。
女房に15日のレッスンができなくなった電話をしてもらう。
自分でした方がいいのは百も承知だけど、朦朧とした状態で話するのは危険だし何よりも声がでない。
処置中に気分が悪くなってそのままベッドに横になっていた。
入院したところで急に食べられるわけでも、気持ちよく飲めるわけでもない。
口にできるのはせいぜいクラッシュゼリーくらい。
それなのに、夕飯が運ばれてきた。
食べられないから一日中点滴受ける覚悟で入院してるのに、目の前に食べ物を置くなんてちょっと無神経すぎるだろ。
「食べられないから下げて。明日もいらないから……」今日1日のイラつきをぶつけるようにそう言った。というかジェスチャーをした。
エアコンが効きすぎて寒い。
体から薬の匂いがする。
ベージュのカーテンと白い壁のクロスに囲まれた病室は刺激がなさすぎてちょっと不安になる。
まだ熱があったから12日は着替えずにそのまま眠った。