よたか2016.01.19 23:20:00
ピカソの絵を見るのは30年振りかな。1982年の春、久留米の石橋美術館にデートで行った「ピカソ愛の遺産展」以来。この時は特に美術に興味なんてなくて、誘われるままに行った。
たぶん「バラ色の時代」がメインだったんだと思うけど、それまで漠然としていたピカソのイメージが一変したんです。
題名までおぼえてないけど、少女の横顔のパステル画がとても印象的でした。
パステルなので、何かの習作なのだと思いますけど、いつかまた見たいなと思い続けています。
そこで今回、もしその絵があったら感動もんだと思っていましたが、結局見当たりませんでした。
キュビズム以前、とくに『バラ色の時代』の作品は点数が少なく、集めるのも一苦労だそうです。
高校生の私が見た絵も本当にタマタマ見た一点だったんでしょうね。
最初に、10代の時の素描が数点ありました。
10歳にして、大学生よりも上手い。まぁ、今回の展覧会は『ピカソ天才の秘密』ですから、あたり前と言えばあたり前か。
結構写実的な絵もありましたけど、モノ足りない感じ。ちがうか、持て余してる感じがしました。
次に青の時代、バラ色の時代ですけど、20代の一時期なんですね。
今回はじめて知りました。
平日の昼間なので、人も少なく、のんびりと見放題。
ギャラリーの中央の椅子に座って、ぐるりと見回すと一面ピカソの絵画。
油絵が少なくて銅版画で場を埋めてる印象があったものの、じわりと寒気を感じる青色はナカナカの迫力でした。
なんて贅沢な時間なんでしょうか。
休日なら混んでてこんな落ち着いてみられなかったと思う。
愛知県美術館は、とにかく広くて見やすいので、この美術館大好きです。
それぞれのコーナーでそんなのんびりとして見てると、なんか自分がピカソになった感じになってきた。
『この絵を描くときってどんな風に筆を動かしたのか?』とか『そんな風に絵の具をつかったんだろう?』なんて考えてしまいます。
迷いなく、素早く動かす絵筆の勢いとか感じるとしびれちゃいます。
その中でも一番気に入ったのが、母子像なんです。
ポーラ美術館所蔵なのでもしかしたらまた見れるかもしれませんが、とにかく女性を柔らかくしたデフォルメがいい。
5分くらい立ち止まってみてました。
気がつくと、筆を持って動かす真似してました。
油絵なんて書いた事ないのに。
つまり、引き込まれる感じの絵だったんです。
最後にキュビズムの作品も数点ありましたけど、こっちはなんかイイかなて感じでした。
そのあと、コレクション展もやっていたので見てきましたが、
ピカソの後に見るのはちょっと足りない印象が残ったかな。
私の絵の見方って『飾って毎日見たいかどうか』が基準なんですけど、
コレクション展の〝シュルレアリスム〟には、そんな作品はなかった。
なんとなく、気持ちが悪い、居心地が悪い感じの絵ばかりに思えた。
私も幾度となく「受け取り手がどう感じるか計算して書くように」と言われてますけど、
絵画も同じなのかもしれません。
こんな気持ちの悪い絵があると気持ちが塞ぎますからね。
上手いとか、下手とか、有名とかそんな基準じゃなくて、心に残しておきたいかどうかですよね。
気に入ったんなら、子どもの絵、孫の絵の方がずっと価値があるとも思います。
全部の作品を見終わって、売店で『バラ色の時代』の少女の絵のポストカードを1枚だけ買いました。
本当は、30年前に見た絵のポストカードが欲しかったけど、さすがになかったので一番印象が近いポストカードを選びました。
アノとき見た少女の絵は、もう見る事もできないかもしれませんが、どうしても私の心にとっておきたい絵なんです。
追記:もしやと思って図書館の蔵書検索すると、『ピカソ愛の遺産展』の図録がありました。
さっそく貸し出し予約。直接ではないけど、もう一度あの絵を見られるかもしれない。
そう思うと、ちょっとドキドキしてきました。