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狼と香辛料 4巻 今までとはちょっと違った終わり方だった

よたか2009.03.29 22:53:44

夏にはアニメの続編も始まるようなので、久々にレビューでも書いてみようかな?

続編の最初の話しになるであろう3巻の「クメルスン」の話しも読んではいたのですが、レビュー書きそびれてしまっているので、続編が始まる前に復習してからレビュー書こうとおもいます。

さて、今回話しは「テレオ」という村での話し。

商取引が中心になっている物語なので、3巻でもそうでしたが、4巻でもなかなか現実社会が反映されている部分をちょっと感じてしまいます。

人のために欠かせない仕事をしているのに報われない仕事の話し、4巻の中では、粉挽き小屋の「エヴァン」と、教会を預かる「エルサ」の身の上から「ホロ」の心情が描かれています。

「テレオ」はとても小さな規模の村で通常ならば、近くの「エンベルク」の支配下におかれていても仕方の無いくらいなのに、前司祭の「フランツ」の力で「エンベルク」と有利な条件で交易を続けていた。

「有利」というには、あまりにも「テレオ」に都合が良すぎる条件だったので「エンベルク」から反感を買い「フランツ司祭」が亡くなったのを機に「テレオ」を支配下に置こうと「エンベルク」が画策している。

そんな時に通りかかった「ロレンス」と「ホロ」が、うまく利用され、罠にはめられていくのが今回の背景。

今までは、「ロレンス」自らの行動が元になって事件に巻き込まれて行きますが、今回は、まったくの通りすがり。

村のことなどおかまいなしに飛び出してしまってもいいのですが、ちゃんと決着を付けてくれるので、最後は気持ちよく読み終える事が出来ました。

収穫した麦を言い値で買い取ってもらえる、有利な交易が続いてきた中、納品物の事故で突然持ち上がる小麦の返品騒ぎ。

しかし、骨抜きになった「テレオ」の村民たちは、冷静な判断が出来ず、旅人である「ロレンス」と「ホロ」に矛先が向けられる。

2人にすれば、全くの通りすがりなので、教会にある「本」を読み終えた後は脱出してしまえばいいのだが、「エヴァン」と「エルサ」を見捨てる事が出来ずに村に戻ってしまう。

村を出る時点で残りページも少なくなっていたので、今回はこのまま逃げちゃうの?ちょっと後味悪い…。と思って読んでいたのですが、「エルサ」が「戻ります」と言った時に正直ホッとしました。

勝算なくとも村へ戻る「エルサ」の気持ちに応えたい「ホロ」は「ロレンス」に泣きつき(この表現でいいのか?)ます。

そんな「ホロ」の気持ちを何とかしたい「ロレンス」ですが「エヴァン」に「商人に必要なのは冷静な損得勘定だ。」と言った手前かどうか解りませんが、商人のプライドに掛けて「得」の為に村に戻ります。

結果的に「エンベルク」の陰謀を阻止し、商売としてみな納得する形で納めたのは見事なのですが「神の奇跡(おおかみの奇跡)」を見せつけて、抑え込んだのはちょっと違う感じがした。

ここまで、最後には「ホロ」が重要な役回りを演じてきたものの、今回のように「ホロ」の奇跡(チカラ)で抑え込んだのは初めてではないでしょうか。

ノーラ=アレントの話しの時も最後には「ホロ」だから、陰謀を阻止できたのだけど、作戦自体は「ホロ」ありきではなかったわけだし。ちょっと納得がいかないと言えばいかない感じはしました。

でもね、そこの部分が気になったとしても、3巻では「涼宮ハルヒの憂鬱」のように主役の独白で話しが進んで行く場面が半分近くもあったのですが、4巻は、揺れる「ホロ」の気持ちなどが見て取れたので、犬耳ファンとしては大満足です。

「うまい商売の話しがあるんだが、少し寄り道になってしまう。」
「しかたないのう。」

まだまだ続く行商(はなし)はつづくようです。