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こんな時期だから「図南の翼(十二国記)」を読み返してみた

よたか2009.07.23 02:44:51

NHKのアニメで放映されてから十二国記のファンになり、全巻読んだのですが、最近この「図南の翼(となんのつばさ)」を無性に読みたくなって昨夜読み返して見ました。

最初の話の主人公「陽子」が景王になる90年前、供王「珠晶」が王になる時のはなし。(十二国記って世界観が独特で漢字も難しいので、レビューも書きつらいのですが、あえてチャレンジしてみます)

「珠晶(しゅしょう)」の住む「恭国(きょうこく)」は27年も王が居なかったので「妖魔(ようま)」と言われる化物たちが人々を襲い、国は荒れ果てていました。

良い王なら、ずっと王として生きて行くのですが、ろくでもない王だとすぐに死んでしまいます。「天帝」と言われる神様のさじ加減かもしれないけど…。

結局彼女は多くの経験積み「昇山(しょうざん)」して王になるのですが、彼女の科白がとても身にしみます。

「王が居なくて不幸ならなぜ自ら昇山して王になろうとしないのか?」
「私は恭国の民としてやるべき事をやっておきたいから「昇山」する事にした。」

この科白、こんな風に12歳の少女に言われている様な気がするんです。
「政治が悪いとか、首相の器でないとか、好き勝手な事を言ってるけど、あなた自身は自らの国の為にどのくらいの事をしてきたの?」

具体的な話をすると「麻生さんは総理にふさわしくない。」メディアはこんな風に切って捨てます。それを受けて「人材不足だ。首相にふさわしい人物はだれもいない。」そうですね、ここまではだれでも口にできます。

問題はここから先「だれも居ないなら俺がなってやる…!」
まぁここまで言う人はなかなかいないでしょうけど、せめて「世の中が良くなる様にこんな事やりたい、こんな事してます」くらいは言いたいものです。

解散総選挙が近づくこの時期、幼い「珠晶」の声が聞こえるようです。
「あなたはやるべき事をやっているといえる?」

世の中の事を愚痴る前に、もう少し考えなければならない事もたくさんあると思います。


「十二国記」って割と説教臭いところがあるので、好き嫌いはあると思うけど、私の場合は、登場人物にのめり込みやすいので、割とすんなり話の内容を受け入れてしまうのです。

図南の翼については、クライマックスシーンで「珠晶」が一気にまくしたてる感じだったのでちょっともったいないなぁと感じましたが、気になる科白を紹介させてもらって今回のレビューを締めくくらせていただきます。

「そんなの、あたしばっかり大丈夫なんじゃ、寝覚め悪いに決まってるじゃない。」
「ひもじい、怖い、辛いなんて愚痴をいって人を妬む暇があれば自分が周囲の人を引き連れて昇山すればいいわけじゃない。」

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