短編集夜明け前のよたか

10,000文字程度の作品集です

しょうごの手 よたか

 暗い2DKのマンションの一室で、銀色のノートパソコンの液晶モニターの青白い光がが久保田将吾(くぼた しょうご:42歳)の顔をぼんやり照らしている。  5年前に、システム開発の会社を追われるように退職し... つづき……

ほととぎす よたか

 幸穂(ゆきほ:35歳)は嫌がっていた息子の信広(のぶひろ:14歳)を無理に連れ出して、車で出かけたのは間違いだったと後悔していた。幸穂は『中三の息子が嫌がってて可愛いなぁ』くらいにしか思わなかったが... つづき……

ペルージアの未亡人 よたか

 1985年夏。自転車レースが好きで仕事を辞めた飯塚敏弘(いいづかとしお)は、本場イタリアまでやって来て、ペルージアの下宿で暮らしていた。  最初はミラノへ来てみけれど、アテがある訳でもなく、日本領事館... つづき……

舞子御前 :なめくじ祭りの夜 よたか

「盛一《せいいち》がさ、舞子《まいこ》の事が好きだとするでしょ」  田んぼに挟まれた狭い田舎のアスファルト。日が落ちてからは、道の両側からは蛙の鳴き声が聞こえる。民家は遠く、街灯もまばらで暗い。人... つづき……

決めた日 よたか

目の前にお父さんがいる。  中学生になったお父さんがいる。 「は、はじめまして。いいお天気ですね。」  何度見ても、細く優しい顔立ちで、えっと、かわいい少年だったので、その、冷静でいられません。今度... つづき……

冷蔵庫のルール よたか

 東桜 貴子、28歳独身。仕事は出張ヘルス。  OLやっていた時に、コンビニに積まれた無料求人誌をふと手に取った。使いすぎたカードローンの返済に困ってた彼女の目に『貴女にも高給優遇』のコピーが目にとま... つづき……