掌編・書出し夜明け前のよたか

よたかが書いた5,000文字間での掌編です

妹と、菓子パンと、海を越えて よたか

「お父さんは海をこえて来たの」  小さな蛍光灯の白々としたキッチン。正方形のダイニングテーブルに、まだ夕食の食器が置いてある。食後のお茶を湯飲みに注ぎながら、雅美は勇祐と美弥にそう言った。  2人と... つづき……

妹と、菓子パンと、ふぅとひと吹き よたか

 放課後、美弥は昇降口から校門へ向かった。美弥にとっていつもの事。ただ、いつもより校門の外が騒がしい。何台も車が停まってて、見た目にスマートな大人たちが何人もいた。  美弥が『何だろう?』と思う間も... つづき……

妹と、菓子パンと、テーブルの置手紙 よたか

 夜勤明け。雅美がドアを開けると、差し込む朝日が奥まで照らす。いつも蛍光灯で白々しい部屋が自然光で満たされる。雅美は狭い玄関に潜り込み、キッチンの床に荷物を下ろしてドアを閉じた。  明るさが失われ雅... つづき……

妹と、菓子パンと、押し入れと よたか

 勇祐は学校帰りの、買い食いが日課だった。柔らかくて口の中で溶けて甘さが広がるような、たっぷりのカスタードクリームにチョコが掛かっている菓子パンが好きだった。  パンを食べて歩いていると、足を踏み... つづき……

わたしはネコじゃない よたか

 笑顔をみると、ココロの体温が2度あがる。  名前を呼ぶと、胸が一杯で呼吸ができない。  彼女の事がスキ。ずっとソバに居たいから、カフェでカップを傾ける彼女のテーブルまで行ってソファー席の隣に座った... つづき……

わたしは猫じゃない よたか

笑顔をみると、ココロの体温が2度あがる。 側にいると、背骨の震えが指先まで伝わる。 名前を呼ぶと、胸が一杯で呼吸ができない。 コレは、たぶん恋。 あこがれとかじゃない。 遠くからじゃモノ足りない。 も... つづき……

渋谷のさくら よたか

『出張で新宿のホテルです。ひとりの夕食になりそうなので、誰か付き合ってください』  生まれて初めて“出会い系掲示板”にそう書いた。  かなり年上の女性かもしれない。見栄えが悪いかもしれない。すごく太っ... つづき……

夢っていくらで買えますか? よたか

「あのー、すいません……この右から2番目にある『夢』っていくらで買えますか?」 「えっと、こちらの夢ですね。3,000円です」薄暗い店内の低いショーケースの向こうにいる若い女性は、夢のパッケージを見ながら... つづき……

英雄 よたか

 周辺諸国統一および蛮族討伐の出陣まであと1時間。  陣頭で指揮を取るため、王である私は、朝焼けで真っ赤に染まる部屋でひとり、昂る気持ちを抑えて、集中を高めていた。  厚いクッションが入った腰掛け... つづき……

デザインと芸術 よたか

「デザインと芸術の違いは何でしょう?」  太一は、デザイン専門学校の授業での教師の質問を思い出していた。    太一は絵を描くのが好きでずっと絵を描いて来て、高校は美術科に入れたが、美大受験には失敗し... つづき……